ここ数年で、アパレル系のECサイトへスタッフスタイリングというコンテンツが実装されることが増えています。モデルを起用して撮られた画像とは違い、実店舗のスタッフがそのブランドの商品を着用する画像や、スタッフの好みで組み合わされたコーディネート画像が掲載されるコンテンツです。
店舗スタッフとしては実務の負荷になるとも思えるこの施策ですが、実際に効果があるのか?といった点を様々なアパレル企業と連携し数多くのスタッフスタイリングを実装してきたトライムというWeb制作会社だからこそわかる視点からまとめていきたいと思います。
Contents
スタッフスタイリングの役割と効果
結論から言うと、スタッフスタイリングは購買意欲を潜在的に持っているユーザーがアイテムを購入するための後押しになっていると考えられます。
スタッフスタイリングの基本的な特徴として、店舗スタッフが自らをモデルにアイテム掲載を行うという点があり、外国人モデルと違い身近な日本人スタッフが着用するため、ユーザーは自分が着用した際の姿をイメージしやすくなるでしょう。また、スタジオを利用して大規模な撮影を行うモデル撮影とも違い、普通のスマホで、店舗内や近くの公園などで撮影される画像は自分が着用するシーンのイメージの後押しになります。
また、通常ECサイトの売上が店舗スタッフのインセンティブに繋がることはありません。ですが、スタッフスタイリングではECサイトの売上とスタッフへのインセンティブを連動することが可能となり、より能動的なスタイリング登録を促すという仕組みが出来上がっています。このようにスタッフの登録を活発にすることでスタッフの中からインフルエンサー化する人が現れたり、既存顧客のファン化、EC顧客のリアル店舗への誘導など売上には現れない効果も期待できるようになります。
このコンテンツをWebデザインという観点から観た際には、Instagramなどの画像をスワイプして切り替えるようなUIとの相性が良いでしょう。豊富に登録されたスタイリングの中から目的のアイテムのコーディネートをスムーズにザッピングするような仕組みが実現できれば、ユーザーにとっては馴染みのある挙動でストレスなく閲覧できるはずです。
計測データから読み取れる効果
実際にトライムで手掛けたクライアントでの計測データをいくつか比較してみたところ、スタッフスタイリングを閲覧したユーザーは、閲覧していないユーザーよりカートに追加するまでの可能性が高く、サイトから途中離脱する比率も少ないというところを読み取ることができました。
スタッフスタイリングからカートへ追加したユーザーの割合
ステップ | ユーザー数 | 放棄数 | 放棄率 |
---|---|---|---|
1.スタッフスタイリング詳細 | 62,950(100%) | 33,620 | 約53% |
2.商品詳細ページ | 29,310(約47%) | 25,400 | 約87% |
3.カート追加 | 3,920(約6.2%) | – | – |
スタッフスタイリング以外からカートへ追加したユーザーの割合
ステップ | ユーザー数 | 放棄数 | 放棄率 |
---|---|---|---|
1.スタッフスタイリング詳細を含まない | 1,506,910(100%) | 1,017,520 | 約68% |
2.商品詳細ページ | 489,390(約33%) | 469,620 | 約96% |
3.カート追加 | 19,770(約1.3%) | – | – |
※表内の数値は実数値をベースとしておりますが、一部編集しております
これらのデータからは、元から購入意欲が高いユーザーが、アイテムに関するより詳細な情報を求めてスタッフスタイリングを利用し、購入まで至っていると推測できます。
また、エンゲージメントが高く、何度もサイト訪れるようなユーザーに対しては通常のアイテムのようにスタイリング毎にお気に入り機能を付与することがとても効果的です。
まとめ
アイテムの購入を検討しているユーザーにとって、スタッフスタイリングは画像やコーディネート情報など通常のECサイトに存在しない情報を持った、痒いところに手が届くコンテンツといえます。見栄え、綺麗さというよりは有益な情報の集まりという特徴があり、それが実際に計測データ上でも好影響を及ぼしていました。
トライムではスタッフスタイリングを数多くのサイトで実装した実績があり、上記の機能面とビジュアル面のバランスをとりながら、お客様の目線に寄り添った形での実装をお手伝いいたします。