中国から閲覧するWebサイトのアクセス遮断と対処法のまとめ(2016年9月)
今後中国側がどのような規制を取っていくかによって出来ること・出来ないことが変わっていくので常に最新情報を追いかける必要がありますが、通常のWebサイト作成であればこの内容を理解して頂ければまず問題なく制作していただけるかと思います。
上海と北京など場所によってもアクセス出来る状況は変わるようですが、今回は上海のホテルからアクセスして確認した状況をもとに書いています。
本当に困っている人のために先にまとめ
Webフォントを含むGoogleのサービスやSNSのボタンをサイトに埋め込んでいると中国国内からアクセス遮断されて正常に表示されないため全てサーバ内に入れておけば解決です!
Google Analyticsなどは重いけど一応は読み込めました。ただ、地域によっては読み込めなかったりすることもあるようなので、そこも気になる場合は百度统计(http://tongji.baidu.com/)というアクセス解析ツールを使用すればある程度快適なWebサイトが制作出来ると思います。
中国からのアクセスに備えたサイト制作のまとめ
中国国内からアクセスが出来ないサービスがあるのは有名な話で知っていたのですが、そのことを金盾(きんじゅん)と呼ぶのは今回始めて知りました。トライムはVPNがあるのでまだ現地での作業も困らなかったですが、VPNが無かったら本当に何も出来ません。今回の確認を通じて本当にすごい国だと実感させられました。
ちなみに上海のあと台湾入りしたのですが、台湾では全く問題なく全てのサービスが使用できてGoogleの有り難さを痛感しました。以前香港・マカオに行った際も問題なかったので、金盾は上海や北京など中国国内だけの話です。
それでは細かい検証結果です。
GoogleAnalyticsなどのログ計測
リアルタイム計測で確認したところ一応計測されましたが、GoogleChromeからのデバッグツールで確認したところ、タグマネージャー経由のGoogleAnalyticsで呼び込みにGoogleAnalyticsだけで5秒程度の時間がかかりました。他のカタリスト関連も似たような感じみたいです。
気になる場合は百度が提供しているアクセスツール百度统计(http://tongji.baidu.com/)を使用すればGoogleAnalyticsほどではないと思いますが、セッション数やPVは問題なく使えそうです。ただクライアントには提案しづらいですね。
SNS関連のシェアのボタンなど
FacebookのいいねボタンやTwitterのデフォルトのツイートボタンを使用しているとこの部分は読み込めません。Instagramの画像などもだめでした。
PinterestとLinkedinはなぜか読み込めましたが他のメジャーなSNSは全滅です。
Youtubeなどの動画埋め込み
YoutubeもGoogleが提供しているのでNGです。トラフィック増加を防ぐために動画を外部から読み込みたい場合は优酷(http://www.youku.com/)を使用して動画を貼り付ける方法が一般的なようです。
Google経由のjQueryなどの呼び出し
これもNGでした。jQueryが読み込めないためJS系は全てエラーになるし、表示崩れも起きてしました。jQueryぐらいでしたらたいして重くないし最初からサーバに入れておくのも手ですね。
Google Map
当然の用にGoogle MapもNGです。地図を埋め込む場合は百度のマップ(http://map.baidu.com/)を使ってください。試してはいませんがサイト内への埋め込みもできそうでした。
Google Web Fonts
見落としがちですがGoogleWebフォントもNGです。Webフォントを指定する場合はGoogleからフォントをダウンロードして埋め込むしかないようです。
Google Web Fontsであれば著作権的な部分はおそらく問題無いと思いますが、Googleからフォントをダウンロードしたファイルを解凍すると、ライセンスについて書かれたテキストファイルが入っていますので確認してください。
Webサイトには直接関係ないけど使えなくて困ったサービス
・Gmail
・Git Hub
・Googleによる検索(Yahoo!Japanは問題なかったです)
・Facebookメッセンジャー
・Line
・DropBox
・Google drive
普段当たり前に使用しているサービスが利用出来ないと作業効率が大幅に下がります。ミーティングが無く、インターネットが繋がっていれば世界中のどこでも仕事ができると自負していましたが、中国本土でのノマドワーキングは無理でした。
使えて安心したサービス
・evernote
・Yahoo!Japan
・firestorage
感覚値ですが半分ぐらいのWebサイトは表示崩を起こしていました。興味本位で日本の内閣府のWebサイトを見たのですが、CSSが読み込めてないせいか表示崩こそ合ったもののテキストなどの原文は読むことが出来ました。
上海でのネット環境
写真では4Mbpsを計測していますが、一番早いと思ったときのキャプチャーで、それ以外は1Mbps以下でしょうか。なので一言で言うととても遅いです。行ったホテルがたまたま遅い可能性もあるので、一概に言うことは出来ないのですが。。。
1MBのExcelをダウンロードするのに30分かかりました(笑)
本当は空港でこれらの確認作業を行いたかったのですが、空港のfree wifiを使用する場合は現地の電話番号の登録が必要(その番号にショートメールでパスワードが送られてくる)で1泊もする予定なかったのですが仕方なくホテルで確認しました。
アクセス遮断されているサイトの確認ツール
実は日本からでも中国国内で使用できるか診断するサービスがあります。
Blocked in China(http://www.blockedinchina.net/)というWebサイトにURLを入力すればURL単位ではありますが、アクセス出来るかどうかの確認は可能です。
というわけで、トライムのディレクターはクライアントのターゲットに中国関連がある場合は事前に上記の内容を伝える必要があるし、コーダーは上記の内容を良く理解しては注意してコーディングしてください。
Writer
遠山拓朗
お酒が大好きなECコンサルタントです。ビールとマーケティングと海外旅行とビールが大好きです。普段目黒か神楽坂で飲んでるので、Webの相談と飲みのお誘いお待ちしてます。
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