Webマーケティングの基礎知識
Webディレクターのもっちです。
前回までの記事では4回に分けてSEO対策についてブログを書いてきましたが、
SEO対策もWebマーケティングの施策の種類の1つです。
日本企業でもますますWebサイトの活用が進み、社内にWebマーケティング担当者が置かれることも多くなりました。
本記事では、Webマーケティングの全体像を知りたい方に向けて、押さえておきたい基礎知識やWebマーケティングの学び方などをご紹介します。
Webマーケティングとは
Webマーケティングとは、WebサイトなどのWeb媒体を中心に行われるマーケティングを指します。
Webマーケティングはそもそものマーケティングの目的である自社商品・サービスの認知拡大や販売促進を、Webをベースにより効果的に行うことを目的としています。
Webマーケティングが従来のマーケティングと異なる最大の特徴は、行った施策の効果がすべて数値化される点です。
チラシやダイレクトメールなどオフラインの施策では、ユーザーの動きや集客効果を詳細に把握することは難しいです。
一方、WebマーケティングではユーザーのWebサイト上でのアクションを追跡することができ、どのような経緯でWebサイトを訪れたか、購入に至るまでどのコンテンツをどれだけ見ていたかといったことを数値で確認することが可能です。
このことにより、Webマーケティングは効果測定をもとにした施策の改善を行いやすいマーケティング手法であると言えます。
Webマーケティングとデジタルマーケティングの違い
近年ではWebマーケティングと近しいものとして「デジタルマーケティング」という言葉もよく使われるようになり、Webマーケティングと混同されることもあるようです。
Webマーケティングとデジタルマーケティングの違いは、そもそもWebマーケティングはデジタルマーケティングの一部であることを理解するとわかりやすいでしょう。
Webマーケティングは、WebサイトやSNS、Web広告などを活用したデジタルマーケティングの手法のひとつであり、デジタルマーケティングの概念に内包されています。
Webマーケティングの施策の種類
Webマーケティングの段階は「集客」「接客(販売)」「再訪促進」の3つに大別されます。
それぞれの段階にあったおもな施策の種類は次の表の通りです。
集客 | ・SEO ・リスティング広告 ・アフェリエイト広告 ・アドネットワーク広告 ・SNS広告 ・リターゲティング広告 |
接客 | ・チャットボット(Web接客) |
再訪促進 | ・メールマーケティング ・ソーシャルメディア対策 |
SEO(検索エンジン最適化)
SEOとは、「Search Engine Optimization(検索エンジン最適化)」の略で、自社サイトがGoogleなどの検索エンジンによって上位に掲載されることを狙い、コンテンツを最適化することです。
まずは検索上位に表示されることによりアクセス数がアップすることを目指しますが、最終的な目的はコンバージョン(購入やお問い合わせなど)や商談の数を増やすことです。
SEOはWebマーケティングの集客手法の定番のひとつです。
社内のリソースを使ってコストを抑えながら取り組める点がメリットですが、その分、手間や工数がかかる点と効果が出るまでに時間がかかることがデメリットだと言えます。
リスティング広告
リスティング広告とは検索連動型広告のことで、ユーザーが検索したキーワードや閲覧しているWebページの内容に連動した広告が自動的に表示されるしくみです。
ユーザーの興味関心や悩みなどのニーズにあわせた広告が表示されるので広告効果アップが期待できます。
上述の通りSEOには即効性が期待できないことから、それを補うためにSEOと並行して実践される手法がリスティング広告です。
SEOの効果が出るまでの間、一定数のアクセスを集めるために短期的かつ最小限でリスティング広告を活用するのがおすすめです。
アフィリエイト広告
アフィリエイト広告とは成功報酬型の広告宣伝プログラムです。
BtoC向きの広告手法で、おもに会員登録や資料請求、ECサイトからの購入を促す場合に利用されます。
アフィリエイト広告はアフィリエイター(媒体主)のWebサイトやブログ、メールマガジンなどに自社(広告主)の情報のリンクを掲載してもらい、そのリンク経由で訪れたユーザーがコンバージョン(会員登録や資料・サンプル請求、購入など)に至った場合に、広告費が発生し、アフィリエイターへの報酬が発生するしくみです。
広告の出稿先としては法人サイトと個人サイトがあります。
法人サイトでは会員あてに配信したメールマガジンなどからWebサイトに誘導し、個人サイトでは、商品・サービスの紹介ページや個人のブログ記事からバナーなどによって誘導する場合が多いです。
アフィリエイト広告を出稿する際には基本的に、媒体主と広告主を仲介する「ASP(アフィリエイト・サービス・プロバイダ)」というサービスを利用することになります。
ASPの利用料は固定費として月ごとにかかりますが、自社の情報がASPを通してアフィリエイターに選ばれなければ掲載してもらえないというリスクがあります。
アドネットワーク広告
アドネットワーク広告とは、複数のWebサイトに広告を掲載するネット広告の手法です。
通常、複数の媒体へ広告を出稿するには、それぞれのメディアとの契約が必要になるうえ、媒体ごとに異なる料金体系や入稿形式に合わせなければなりません。
その点、アドネットワーク広告では広告の出稿を一社のアドネットワーク業者に一括して任せることができるので効率的です。
広告を掲載した後は、項目や形式の揃った広告効果データをもらうことができ、媒体間での効果比較がしやすい点もメリットです。
デメリットは、広告はアドネットワーク業者が持っている媒体に一様に出稿されるので、自社がターゲットとしていない層に向けたメディアにも掲載されることがある点です。
SNS広告
SNS広告とは、LINEやTwitter、FacebookなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を通して、ソーシャルメディアに向けて情報を広める仕組みの広告手法です。
インパクトのある内容でユーザーの興味・関心を集めることができれば、広告や写真、記事コンテンツなどがユーザーどうしの共有・拡散によって自然に広まっていくことが期待できます。
そのためにはそれぞれのSNSのユーザー属性を把握し、拡散されやすいクリエイティブを制作・投稿することが重要です。
リターゲティング広告
リターゲティング広告とは、過去にそのWebサイトを訪れたことのあるユーザーに対象を絞って広告を出す手法です。
気になっている商品はあるけれど購買を迷っている人など、潜在顧客となる可能性の高いユーザーに絞り込んで広告を表示でき、繰り返しアプローチできるので、費用対効果が高い方法だと言われます。
リターゲティング広告は、Webサイトにアクセスしたときにブラウザに付与される「クッキー」を持っているユーザーだけに配信されます。
ユーザーからすると、違うサイトを見ているのに過去にアクセスしたことがあるページの広告が追いかけてくるような現象になるので、敬遠されないように工夫すると良いでしょう。
メールマーケティング
メールマーケティングとは、自社で保有している顧客リストに対して電子メールでアプローチするマーケティング手法のことです。
メールマガジンのヘッダーやフッターなどに広告文とリンクを掲載するタイプと、ユーザーの嗜好などをあらかじめ登録し、それに合った広告を内容とするメールを送るタイプがあります。
広告の費用体系は、配信先となるユーザー数に応じて決まるタイプと、メール内に記載されたURLのクリック数に応じて決まるタイプがあります。
なお、メールマーケティングは近年ではさまざまなネット広告の登場により、効果は低下傾向にあると言われます。
メールマーケティングで成果を挙げるためには、ユーザーにどのような内容のメールを送り、どのような行動を促せば良いのかを深く掘り下げて考えることが大切です。
コンテンツマーケティング
いわゆるテレアポやテレビコマーシャルなど企業がターゲットに直接的なアプローチを行うアウトバウンドマーケティングに対し、商品やサービスに興味・関心を持った見込み顧客に対して行うマーケティング活動をインバウンドマーケティングと言います。
コンテンツマーケティングはインバウンドマーケティングの手法のひとつで、主に用いられるものにはホワイトペーパー、事例紹介の記事コンテンツ、レビューなどがあります。
企業の一方通行にならないよう、ターゲットが興味を持ちそうなコンテンツをWebサイトやSNSを通して適切なタイミングで提供することにより、段階的にコンバージョンにつなげる手法です。
Webマーケティングの始め方
Webマーケティングを始める際の手順や考え方について、概要を解説します。
目的を設定する
最初に、Webマーケティングを通して何を達成したいかを考え、目的を設定します。
たとえば、自社ブランドの認知拡大や自社商品の販売促進などが目的にあたるでしょう。
Webマーケティングで達成したい目的を設定し、方向性を定めることで施策や戦略が立てやすくなり、成果も出やすくなるでしょう。
ゴールを設定する
設定した目的をふまえて、具体的なゴールを設定します。ここでいうゴールは具体的な数値目標であることが望ましく、たとえば「商品の月間売上を1.5倍にする」「ブランド認知度を30%アップさせる」といったものです。
ゴールを設定すると何をすべきかが明確になり、最終的な成果につながるでしょう。
ただし、ゴールはあくまでも現実的な範囲で設定しましょう。
いたずらに高い理想を掲げるよりも、達成可能な目標を設定して着実に成果を出せるようにすることが大切です。
ターゲットを設定する
自社の商品・サービスを買ってくれるであろう顧客層を決めて、より効率的に販売促進などを行えるよう、売り込む対象であるターゲットを設定します。
ターゲットの設定は、年齢・性別・職業・居住地といったユーザーの属性情報を元に行います。
どのようなユーザーが自社の商品・サービスに興味を持つかを考えて設定しましょう。
カスタマージャーニーを設定する
カスタマージャーニーとは、ターゲットとなる顧客が商品やサービスに興味・関心を持ち、購入や利用に至るまでの流れのことです。
カスタマージャーニーを設定することで、顧客の多種多様なニーズや購入プロセスの詳細を可視化することができ、商品やサービスの訴求をより効果的に行えるようになります。
カスタマージャーニーを設定するにあたっては、社内の各部署にある顧客情報を集めるほか、ユーザーインタビューや市場調査を行うなどして顧客のニーズと購入プロセスを把握することが重要です。
KPIを設定する
KPIとはKey Performance Indicatorsの略で、ゴールを達成するための指標となるものを指します。
たとえばECサイトの場合は商品紹介ページのクリック数や購入率がこれに当たります。
KPIを設定することで、マーケティングの効果が出ているかどうかを具体的に知り、現状の課題を把握することができます。
現状の課題の把握は、Webマーケティングにおいて、より効果的な施策を実践するために不可欠ですので、必ず設定するようにしましょう。
データの収集・分析をする
Webマーケティングの施策の立案にはデータの収集と分析が不可欠です。
扱うデータには定量データ(数値化されるもの)と定性データ(数値化されないもの)とがあり、数値によるデータ分析を「定量分析」、消費者の声など数値で表せない質的なデータ分析を「定性分析」と言います。
定量分析では、アンケートを通じての顧客データの収集、Google Analyticsなどのツールによる自社サイトへのアクセス数の分析、顧客単価や会員登録数の確認などを行います。
定性分析では、インタビューや自由回答式のアンケート、SNS上の口コミなど、おもに言葉によるデータをもとに分析します。
課題を抽出して改善する
データ分析でユーザーのニーズや本音を把握したら、課題を抽出して改善策を検討します。
さきに設定した目的が達成できているかどうかを確認しつつ、差異があれば埋めていく段階です。
たとえば「そもそもWebサイトへの訪問者数が少ない」という課題が抽出できたら、SNSでの情報発信を強化したり、コンテンツ内容を見直したりすることで訪問者数の増加を見込めるでしょう。
Webマーケティングは短期的に効果が見える手法ではないので、一喜一憂せずに冷静に課題の原因を分析しましょう。
しかし、そもそもターゲットが集まっていないサイトの分析や改善をしても意味がなく、まずは受け皿を整える必要があります。
集客から改善の流れを回していくためには、短期的な施策であるWeb広告と、長期的な施策であるSEOやコンテンツマーケティングなどの施策を両立させていくことが重要です。
Webマーケティングを体系的に学ぶのに役立つ情報サイト
Googleデジタルワークショップ / Google (無料)
GoogleデジタルワークショップはGoogleが提供するeラーニングサービスで、全15プランの講座を無料で利用可能です。
Webマーケティングを学ぶには「デジタルマーケティングの基礎」(認定証取得コース)がおすすめです。
動画コンテンツなどを視聴しながら学習を進め、最終試験に合格すると認定証を取得でき、履歴書に記載することができます。
Googleデジタルワークショップはこちら
Webマーケティングで注意すべきポイント
Webマーケティングのさまざまなメリットや施策について触れてきましたが、実際のところ、Webマーケティング施策には費用も時間もかかります。
さらに、競合も同じようにWebサイトの運用・改善をしながら顧客を集めようとしているので、思うように集客や売り上げを伸ばせないことも多いでしょう。
Webマーケティングで注意すべきポイントは、無理のない戦略設計と長期的な視点で進めることです。
Webマーケティングには即効性を期待せず、半年から一年をめどに効果を見ると良いとも言われます。
自社のターゲットとなる顧客の動向を分析して、WebサイトやSNSをどのように活用してアピールしていくのが有効なのか、すぐに効果が出るものと時間がかかるものとをそれぞれ判断することが重要です。
たとえば、検索上位に表示されるまでは時間がかかるSEO施策と並行して、スピーディーに出稿できるリスティング広告を活用するという手もあります。
また、あくまでも顧客のニーズにあった良質なコンテンツを発信することと、Webサイト内での誘導のしかたに工夫を凝らすことも重要なポイントです。
広告の打ち方や選び方を誤ると集客効果が得られませんし、集客の結果、Webサイトを訪れてくれたユーザーがこちらの期待通りに商品やサービスに魅力を感じてくれるとは限りません。
いたずらに大量のコンテンツを用意しても、コンテンツの質が低ければむしろブランドの信頼を失墜させるおそれもあるので注意が必要です。
Webマーケティングでは、幸いなことに、どの広告から何人の集客ができたのか、どのページに何人のユーザーがどのくらいの時間滞在したのかなどについてデータをもとに詳細に検証することができます。
情報の見せ方や誘導のしかたについて、どのような課題があるかを見つけ、改善施策を行うことで集客効果と販売実績を上げていくことができるのです。
まとめ
現代のマーケティングの中心がデジタルマーケティングであることから、新しい産業分野であるWebマーケティングは多くの企業に求められ、拡大しています。
従来のオフラインチャネルのデジタル化および顧客チャネルの多様化と並行して、新型コロナウイルス流行の影響で企業のマーケティング活動は一気にリモート化し、Webマーケティングとマーケターに期待される場面はますます増加の一途をたどるでしょう。
便利なツールを組織や施策と効率よく連動させて、成果の出るWebマーケティングにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
ではまた次回のブログでお会いしましょう!
Writer
nemo
会社でアニ研(アニメ研究会)を設立したりするヲタク系Webディレクターです。
大切なことは音楽とアニメと漫画から教わりました。